コレクション: 村澤 享

栃木県益子

  • 陶器

― 伝統の火を受け継ぎ、現代に寄り添う ―

栃木県・益子の地で、伝統釉薬の研究と日々の作陶を続ける陶芸家・村澤享さん。
益子焼の老舗「村澤陶苑」の五代目として、
代々受け継がれてきた土と炎の仕事を担っています。

 

【登り窯が教えてくれること】

村澤陶苑に残る大きな登り窯は、明治33年に初代が築いたもの。
幅5メートル、長さ18メートルにも及ぶ窯で、最盛期には年に4回焚かれ、
益子の焼き物の文化を支えてきました。 
その大窯も、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けましたが、
村澤さんは、「登り窯で焼くことを、益子に残したい」という思いを胸に、
瓦礫となった土や窯の一部を活かしながら、新しい窯を自ら築き上げました。

いまも機会をつくっては登り窯に火を入れ、
伝統の息づく時間を大切にしています。


【伝統と現代の間にある、美しいバランス】


村澤さんのうつわには、益子の土がもたらす穏やかな質感と、
伝統釉薬が生む深みのある色合いが静かに息づいています。

一方で、形やサイズ感、そして耐久性には現代の暮らしへの視点を丁寧に落とし込み、
「毎日安心して使えること」「手にしたときに心が和らぐこと」を大切に制作されています。

 

【続けていくからこそ、生まれる器】

長く受け継がれてきた仕事を未来へつなげながら、
日々の生活に溶け込む新しいうつわを生み出していく——。

村澤さんの器から感じられる静かな力強さは、
その両方を大切にしてきた時間そのものなのかもしれません。

伝統の技を現代の暮らしへ繋ぐ村澤さんのうつわを、どうぞお楽しみください。


プロフィール

1979年|益子町に生まれる

2003年|栃木県窯業指導所研究科修了

2004年|村澤陶苑にて作陶

2005年|第79回「国展」入選
|以後、2010年の第84回まで連続入選

2009年|第63回 栃木県芸術美術展工芸部門 入選
|以後、第64、65回と連続入選

2011年|第85回「国展」奨励賞受賞
|東武宇都宮百貨店 美術回廊にて初個展

2012年|第66回 栃木県芸術美術展工芸部門 奨励賞受賞

2014年|国画会会友になる

2017年|国画会準会員に推挙・準会員となる

作品一覧

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  • 作り手:加守田 太郎

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    ― 手びねりで紡ぐ、やわらかさと凛の調和 ― 栃木県・益子の里山に窯を構える陶芸家、加守田太郎さん。工房に並ぶ器を手に取ると、まずその形のやわらかさに目を奪われます。 丸みを帯びた“ぼってり”としたフォルムに、どこか凛とした幾何学模様。一見、相反するように見える組み合わせを、太郎さんは筆で塗られた釉薬の濃淡によって、見事に調和させます。同じ形、同じ模様であっても、それぞれが異なる表情を見せるのは、そのにじみや揺らぎが生み出す“個性”ゆえでしょう。   作陶スタイルは、はじめから一貫して「手びねり」 父である加守田章二氏――“異才・鬼才”と称され、今なお多くの陶芸家に影響を与え続ける作家――の手法を受け継ぎながら、太郎さんは自然体で、自分の作陶スタイルを築いてきました。 気負うことなく、淡々と、楽しみながら作り続けてきた日々。その積み重ねが、太郎さんの器にある穏やかな魅力を育てています。 手に持つと、どこか安心する重み。口にあてると、やわらかく感じる飲み口。使うたびに「この器でよかった」と思わせてくれる、そんなうつわです。

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